世界のホテルからエピソード4、Presented by ホテル研究所

■episode4 (ホテルマジェスティックサイゴン:Hotel Majestic Saigon)

今回ご紹介するepisode4は、初となるアジア圏ベトナムにフォーカスしてお届けします。
昨今、経済発展が目まぐるしいかの地ではございますが、1964年のトンキン湾事件がきっかけとなったベトナム戦争は、1975年の終結まで多大なる犠牲を負った悲しい出来事でした。
その後、南北統一され「ベトナム社会主義共和国」が成立されましたが、1978年~79年にベトナムとカンボジアの国境紛争が発生。それに対し1979年2月に中国がベトナムを懲罰すると称し侵攻、中越戦争に端を発した。長きに渡り混迷していた国内情勢も1986年には改革路線に転換、1995年にベトナムはASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟するに至った。また、時を同じくしてベトナムとアメリカの国交が回復し、痛ましいベトナム戦争は過去の出来事となった。2006年にはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が首都ハノイで開催され、第一次安倍政権下において安倍首相が参加したことは記憶に残るところである。


みて黄門 プロフィール

NO.003 エージェント みて黄門
お尻を出した御老公「みて黄門」エージェントアバター 派遣管轄 基本的に国内行脚
公式名 水手光圀
身分
言わずと知れた、天下の副将軍 従三位権中納言「みて光圀公」であらせられる
御供衆
スケ兵三郎(通称:スケさん)
カク之進(通称:カクさん)
もっこりハチ兵衛(通称:ハチ兵衛)

この度、調査報告を担当するのはホテル研究所エージェントの中では最高齢「みて黄門」です。当研究所職員の間では、黄門様、御老公、御隠居など呼び名は様々ですが、かの御仁を「みて黄門」と人はそう呼ぶ。みて黄門の主なミッションは、日本全国のシニア層に支持されるホテル行脚です。ご高齢ということもあり、スケさん・カクさん・ハチ兵衛の御供を従え旅をしている模様。当研究所としても、増加傾向にあるシニア世代に向けたサービスの実態調査を行うため、かの御仁の情報には注目しております。今回は御供衆の計らいで、海外初行脚を兼ねベトナムへ向かうという話を聞き、当研究所職員が随行した記録を公開することに致しました。

  • タンソンニャット国際空港チェックインカウンター周辺

    (画像出典:wikipedia)

  • タンソンニャット国際空港に降り立ち

    「やっと着きましたね、御隠居!」

    そう第一声を発したのはもっこりハチ兵衛さんであった・・・。

    日本から約6時間をかけたフライトで御隠居さんをはじめ御一行は少々お疲れのご様子でした。無理もない、ここベトナムは高温多雨、熱帯モンスーン気候である。


南北に細長い国土のため同時期であっても地域により気候は大きく変化する。当空港は南部に位置するホーチミン市郊外に在り、11月~4月にかけては乾季ということもあり比較的過ごし易いと伺ってはいたが、4月ともなれば湿度も高くじめっとした暑さが身にしみる。御老体を押してまでベトナムに連れて来る理由はあるのか?私はそのことだけが気になって仕方がなかった。

  • 「して、スケさんカクさん、これからどうするのじゃ?」額の汗を拭きながら御隠居様が呟いた。
    その辺りスケさんが事前に調べていた様子で、空港からホーチミン市内への移動は、ホテルへの送迎バスか市バスの利用、若しくはタクシーに限られる。しかし、タクシー乗り場への行く手には多くの客引きが現れるので用心が必要らしい。何故なら、間違った客引きでタクシーを利用するとぼったくりに遭遇するハメになるとか?!
    ここは空港内にあるタクシー乗り場に停車中のタクシーにて移動することをお勧めする。
     


その間カクさんは、空港内にて両替を済ませるべく窓口に向かっていた。ベトナム通貨はドン(Dong)という単位ですが、日本ではベトナムドンを銀行では取扱っておらず国際空港であっても日本円からベトナムドンへは換金できないのでご注意ください。
そして、ハチ兵衛さんはというと・・・、手荷物にもたれ俯きながら寝てました。(笑)

  • ベトナム通貨ドン紙幣の種類
  • 私はカクさんと共に両替窓口へと向かった。
    その日の為替では「1円=200ドン」ほど、500mlペットボトルのミネラルウォーターが5,000ドン(約25円)というのが物価相場である。カクさん曰く、ベトナム通貨ではコインは滅多に使われず、写真の様に細かい単位の紙幣でほぼ取引されるという。注意が必要なのは、「0」の数に混乱して絵柄で記憶しようにも紙幣の人物は皆同じなため、色で判別するのが賢明であろう。


また、支払いをスムーズにするためには、10,000ドン紙幣と20,000ドン紙幣は多めに両替しておくべきかと。全員揃ったところでタクシー乗り場へ移動、いざホーチミン市内を目指すのであった・・・。

  • ここでベトナムの交通事情を収めた動画を少しご紹介!ベトナムと言えばバイクが横行しているというイメージだけが先行しますが、それだけではございません・・・。

  • 夜の市街地ともなると道路を埋め尽くすバイク、バイク、そしてバイク・・・。
    道路を横断する際は覚悟を決めて突破することが肝要!躊躇した途端、接触事故に巻き込まれる可能性があるのでここは地元民の後を追って横断するのがコツだとか・・・。

  • ベトナムのホーチミン中央郵便局正面外観
  • 空港からホーチミン市の中心部までは凡そ20分~30分。料金にして約15万ドン、しかし別途空港利用料金の1万ドンが追加されることをお忘れなく!ドンコイ通り沿いでタクシーを降り立った御一行が先ず目にしたのは、ヨーロピアン風の雰囲気を醸し出す駅の様な巨大な建物。「大そうな建物よのう~」御隠居様が口を開いたまま佇んで見上げている。するとカクさんが「御隠居!これは中央郵便局でございます」と説明を始めた。


かつてベトナムは1887年~1945年の間、フランスの植民地であった。当時は「フランス領インドシナ」と呼ばれ、街の景観は「東洋のパリ」と称されたほどコロニアル建築の建造物が多く残されています。ここドンコイ通り周辺は、大型ショッピングセンターやお洒落なカフェ、雑貨店、スパマッサージ、飲食店等、ホーチミン最大のレジャースポットが軒を連ね観光地としても有名なのです。
「御隠居!中へ入りましょう」スケさんが手招きしている。どうやら気軽に中へ入れるらしい・・・。

  • ベトナムのホーチミン中央郵便局内観ロビー
  • 中央郵便局の中はアーチ状の天井になっていて、とても開放感ある空間。正面奥に飾られたベトナム建国の父、ホー・チ・ミン氏の肖像画が威厳を感じさせる。局内には土産物が販売されており、ハチ兵衛さんの興味といえば絵葉書や栞、何やらおかしな人形や鞄などを物色している。
    「おい、ハチ!いつまで見てるんだ・・・行くぞ!」
    カクさんは呼びつけるのであった。
    「待ってくださいよ~兄貴!」
    ハチ兵衛さんが慌てて向かってくる。何処かでみたくだりだ・・・。

中央郵便局を背に正面を見渡すと赤レンガ造りの建物、観光スポットとしては見逃せない聖母マリア教会に目を奪われます。通称「サイゴン大教会」は、当時フランスが本国からわざわざ建築資材を持ち込んで建てられたとのことです。フランス建築の技法がそのまま活かされているため、機密性が高いレンガ造りがこの土地での気候に合わず、本堂内は当初蒸し風呂状態であった模様。その後、この土地の気候に適応した改装が施され、正面口にある通気口がその名残であるそうな。日曜日のミサでは、地元の多くのキリスト教徒たちで賑わっているらしいが、平日は観光客が殆どといった感じです。御一行たちはそびえ立つ聖母マリア像に向かって手を合わせておりました・・・。観音菩薩と勘違いなされてはいないだろうか?宗教違うし・・・。

  • ドンコイ通り沿いサイゴンオペラハウス外観
  • 中世ヨーロッパの彫刻や装飾を取り入れたサイゴンオペラハウス

サイゴン大教会を後にした御一行はドンコイ通りをサイゴン川に向かって歩き出しました。500mほど行くと左手にサイゴンオペラハウスが姿を現した。座席数約1800席、比較的小ぢんまりとした市民劇場ではありますが、世界中のコンサートやバレエ団の公演に用いられています。
中央郵便局同様、フランス統治下の影響が色濃く反映された佇まいですが、ベトナム戦争下において建物自体かなり被害を被り、1988年、サイゴン市政300周年を記念して100年前当時の姿を復元されております。中世ヨーロッパを漂わせる彫刻や装飾の数々は、まるで美術館かと思わすほどの装いに観光客の足は絶えない様子。
「スケさん、ここも自由に中へ入れるのか?」
そう言いながら御隠居様が正面入り口へ向かおうとすると、「お待ちください御隠居!」スケさんが透かさず留まるよう促した。どうやら公演が行われていない時は中に入れないとの事。運が良ければ正面入り口付近で、無料の野外イベントが催される様なので参考までにその動画を紹介しておこう。

サイゴンオペラハウスを背に再びドンコイ通りをサイゴン川へ向かい歩き始める御一行であった。
「御隠居!そろそろ今夜の宿に向かいましょう」と、カクさんが話しかけた。
今夜宿泊するホテルは、「マジェスティックサイゴン」らしい。ここで地図を貼っておこう、オペラハウスから数百メートルほどの距離でサイゴン川の畔に位置する。ホーチミン随一と謳われる最高級5つ星ホテルというので期待が膨らむ。

「ちょっと待って下さいよ、兄貴!機内食を食べて以降、何も腹に入れてない状況ですぜぇ!!」ここまで然程口を開くこともなく傍にいたハチ兵衛さんがここぞと訴えた。
「御隠居!宿の前に何か食って参りませんか?」
これも何処かでみたくだりだが、私も先ほどからお腹が鳴っていたのでハチ兵衛さんに同調していた。すると御隠居様も「そうじゃな、ここはハチ兵衛の言う通り食事としようではないか、スケさんカクさん・・・」と、宿泊先へと急ぐ二人を諭すのであった。

  • 皿の上に盛られたゴイクン、ヌクチャムソース添え
  • ドンコイ通り沿いには名店の数々が存在し、中でも「ゴイクン」はベトナム料理を代表する食べ物である。米粉を使った薄い皮にエビやレタス、その他ビーフンなど好みの具材を包み込んだ生春巻き!それがゴイクンなのです。

    食べ方は、ベトナム料理で最もポピュラーなヌクチャムというソースにつけるのがお勧め!ヌクマムと呼ばれる魚醤に砂糖、ライムやレモンの搾り汁・酢・唐辛子・ニンニクに水を加えて作られたどんなお料理にでも合う万能ソースだとか。
    日本人に馴染みのある酢の物の様な甘酸っぱさが食をそそります!

  • ベトナム代表料理、フォーの上に牛肉が添えられたフォーボー
  • こちらもベトナム料理に代表される「フォー」、米粉から作られた麺は腰がないぶん柔らかな食べ応えです。フォーには食べ方が大きく分けて3種類あり、牛肉をのせて食べるフォーボーと鶏肉をのせて食べるフォーガー、そして魚をのせて食べるフォーカーなるものも存在するとか。


「おい、ハチ!丼ぶりから汁を直接すするんじゃない!!」カクさんが慌ててハチ兵衛さんに注意した。
ベトナムではスープを飲む時に、必ずスプーンを使用するのがマナー。日本でのうどんやそばの様に器から直接スープを飲むことは極めて下品だと言うことなのでご注意ください!

  • お腹も満たされたことでハチ兵衛さんも上機嫌で御一行はホテルへと向かい始めました。

    マジェスティックサイゴンは創業1925年の老舗ホテル、高級感漂うクラシカルな外観および内装。
    一見すると、かなりお高めな宿泊料と思われがちですが、意外にも1泊13,000円クラスの朝食付でとてもリーズナブルなのがお勧めする理由です。

  • ホテルマジェスティックサイゴンのツインルーム

    (出典:HOTEL MAJESTIC SAIGON http://www.majesticsaigon.com/index.php)

  • 御一行はさすがにお疲れだったご様子。
    ロビーでチェックインを済ますと、先ずは御隠居様をスケさん・カクさんがお部屋にお連れしてそのままお二人もお部屋に向かわれました。私はハチ兵衛さんと同室なので共に向かうとする。

    部屋に入るなり荷物を降ろし辺りを物色するのがホテル研究所職員の悪い癖・・・、ついついエージェントと同じ様な行動をとってしまいます。

歴史を感じさせる風格の中に、近代的設備をアンティーク風の家具との調和で、その雰囲気を損なわない配慮がとても素晴らしいと感じました。そんな雰囲気に浸っている私の横でハチ兵衛さんはというと・・・、ウェルカムサービスとしてお部屋に用意されたチョコレートやフルーツを頬張っている。
ほんと、この人は食べることしか興味がないんだな・・・。

  • ホテルマジェスティックサイゴン新館屋上にあるBarから眺める夜景

    (出典:HOTEL MAJESTIC SAIGON http://www.majesticsaigon.com/index.php)

  • 御隠居様の召集により一同は新館ホテルの屋上にあるバーで一杯やることになりました。

    夕暮れになり、そこからの眺めは絶景で、サイゴン川の畔に灯る光が心を和ませてくれます。

    今宵はゆっくりと旅の疲れを癒し、また明日からの道中をいつしかのエピソードにてお伝えします。