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「指切りをして･･･、約束。」（29歳♀ パート勤務）
 

私は2年前に旦那と別れ、5歳になる娘と母ひとり子ひとりで暮らしています。
色々な経緯があり元旦那からの養育費は望めず、かと言って結婚に反対され親元を家出同然で飛び出した私には、頼ることも帰る居場所もございません。ただただ愛娘の成長を願って、朝晩パートに出て何とか日々の生計を立てています。

昨年秋のこと、娘を預けている保育園の恒例行事で運動会がございました。前年の運動会では、定職が決まり働き出したばかりでお休みが取れず、娘の晴れ姿に立ち会うことが適わず終いでした。
あの頃は、いつも楽しそうに運動会に向けての様子を娘は話してくれました。しかし、仕事で観に行けないことを告げると、とても残念そうな表情だったのが今でも忘れられません。
保育園の年長を迎え4月には小学生、今年こそ必ず観に行くことを娘には約束しました。

指切りをして･･･、約束。
あんなに小さかった小指が、今ではしっかりと･･･そして、力強く私の小指を重ねています。

運動会に向けて、保育園側と保護者の事前説明会がございました。保護者の多くは、夫婦共働きや私の様なシングルマザーの方がいて、同じ境遇だからなのか打ち解けられるママ友が少なからずおりました。
私よりもずいぶん若いママ友の一人から応援衣装をみんなで揃えてみませんか？という提案がございました。彼女は学生時代にチアをやっていたことから、有志でチアガールコスプレをしようというのです･･･。
「あなたはまだ若いからいいけど、私なんかはムリムリ！」と、心の中で叫んでおりました。
その後、参加者を集う用紙が配られ、それにはこの商品のチアガール写真が載せられておりました。私は益々無理だと思い、辞退するつもりでおりました。
その時です、娘が
「Ｙくんのママが運動会のときチアガールで応援してくれるんだ･･･」
と話しはじめ
「ママもチアガールで私のこと応援してくれる？」と尋ねられました。

それは以前、楽しそうに運動会に向けての様子を私に話してくれてたときの様に･･･。

私はその表情を見て、あの頃と同じ思いをさせまいと感じ、20代最後、公衆の面前で弾けるのも今しかできない！と一心発起する思いで、娘には「ママも着て応援するからね」と、またもや指切りをして取り返しのつかない約束をしてしまいました。

運動会当日、チアをやっていたママ友から衣装が手渡され控室にて試着、予想以上のスカートの短さ、事前にサイズなどは聞いていたので下着が見えない様にスパッツを履き準備は完了！

午後の最終プログラムは保護者参加型紅白玉入れ、いよいよ私たちチアガールも応援団衣装で参加です。元気印！満点どころか、恥ずかしさ！満点でした。

園児の祖父母とみられる人たちの若干冷やかな空気を感じつつも、お父さん連中の熱い視線が私の羞恥心の糸をどこかでプツリと切ったのです。それからというもの、子供たちと一緒になって我を忘れ競技を楽しみました。

この娘と一緒にこんなに笑顔ではしゃいだのは何年振りだろう？
そんな思いを感じながら運動会を終えた帰り道、娘と手を繋ぎながら歩いていると、ふと娘は立ち止り私の顔を見上げ笑顔でこう告げたのです。

「ママのチアガール、とっても可愛いかったよ！今日は来てくれてありがと、すごく楽しかった」

思わず胸がきゅ～んと締め付けられました。
チアガールの衣装を着たことで、こんなにも忘れられない、娘との大切な思い出が作れたことに感謝です。

天使の様な娘の笑顔･･･、それが私の元気印！の源です。