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「失恋を機に大切な何かを失って･･･」（36歳♂ 会社員）
 

私は某所ガールズバーに足しげく通う独身者です。彼女とは1年半前に別れ、特にこれといって出会いもない日々を送っています。そのガールズバーに足しげく通う理由･･･、それは言うまでもありませんが、お気に入りの女の子がいてるからという月並みな話しです。
そのお店の女の子の衣装は全員バニーガールであるということ。まあ、みなさんご存知のよく見かけるバニー衣装です。その衣装が好きか嫌いかと尋ねられれば、嫌いじゃない･･･、寧ろ好きな方だと言えるでしょう。しかし、この店のバニー衣装は普通すぎて何か色気に欠ける。最近女性から遠のいている私にとって、目の保養には物足りない。折角のお気に入りの女の子を前にしても、普通すぎるバニー衣装が想像力を掻き消される。

そんなある日のこと、お気に入りの女の子に尋ねてみた。
「この店ってそのバニー衣装しかないの？」すると女の子は大きくうなずいた。
「イケてないってことでしょ？わかる。店から用意してるのはこのタイプしかなくて･･･」その言葉に私は喰いついた。
「うん？それって客側が衣装持ち込めば着てもらえたりするの？」と、話は衣装で盛りあがり、バニーコンセプトのお店なので、バニー系衣装なら客が持ち込んでもOKとのことだった。

そして、探し出したのがこの商品！うん、露出度が高い！最高！！
単純すぎる自分が時より嫌になる･･･、だが仕方がない。そんなことにしか今は楽しめない自分がそこにあるからだ。

後日、同じ店、お気に入りの女の子。何が変わる日々でもなかったが、今夜は違った･･･。
私が持ち込んだこの衣装に着替えたお気に入りの女の子が私の前に現れた！
超いい！スタイルだっていい！･･･と、思わず口に出してしまいそうだったが、そこはクールなイメージを保ちたかったので堪えていた。
自分だけ違う衣装で少々照れているお気に入りの女の子が頬を赤くしている。煌々と照らすテーブルライトからその表情は伺えた。
すると彼女は徐に顔を上げ、私の目を見つめウインクしてこう告げて来た･･･

「お待たせしたね♡待った甲斐あったかな？今まで会って初めて私に笑顔くれたね！嬉しいよ」

そんな言葉で返されるとは思ってもみなかった･･･。
私はいつもどんな顔して店に来てるんだろう？毎日どんな顔してすごしてるんだろう？
いつもクールな自分でいると思っていたのに･･･、何かが違う･･･、ふと違和感が走った瞬間心の奥底が締め付けられる感じがした。

そうか、思い出した。
私は失恋を機に大切な何かを失っていたことを今思い出した。
自分がどんな表情をしていたのか、どんな風に笑っていたのか、そして自分自身がどの様に変わっていったのかも･･･。
この日を境に、自分の表情を取り戻しました。今は笑顔であの店に足しげく通っております。
お気に入りの女の子とこの衣装がきっかけを作ってくれました、ありがとう。